先日、「お役所は「前例」に弱い?!」という記事でも書いたけれど、
「ALS患者等の医療的ケアシンポジウム」に参加した際に、
事例紹介のパートで、50歳代の患者さんのコメントに、
同じALSなのに、40歳以上というだけで費用負担が発生し、
低いサービスを受けなければならないのは、
おかしいという指摘があった。
介護について知らない人間には、そんなことが?と思うけれど、
要支援や重症とまでいかない患者さんの間では、
そういう不公平は普通に存在しているらしい。
なぜそういうことが起きるのかというと、「介護保険優先の原則」があるからだ。
40歳以上のALS患者は、
障害者総合支援法第7条にある介護保険優先原則のために、
障害福祉よりも介護保険のサービスを優先して使用しなければならない。
優先というと選択肢があるように聞こえるけれど、
強制的に介護保険のサービスで考えることになる。
そして、認定された要介護度ごとに定められた介護保険サービスは、
明らかに障害福祉に比べると不十分なものとなっているようだ。
私も40歳以上で介護保険優先となるため、他人事ではない。
以前ネットで見つけた、福岡市の患者さんが行政を訴えたニュースの
その後が気になっていた。
▽「介護保険優先」介助に制限 ALS患者「不当」
http://qnet.nishinippon.co.jp/medical/news/kyushu/post_1305.shtml
この件について、ようやく今年の3月に裁決が出たらしい。
「介護保険サービスと障害福祉サービスの併給申請を却下した
福岡市の原処分(本件処分)は不当であるとして、
これを取消す旨の裁決(本件裁決)を行いました。」とある。
▽福岡第一法律事務所の記事
http://www.f-daiichi.jp/handicapped/kaigo/1421/
不服の訴えから裁定まで、1年間以上もかかっており、
英断というよりは、単に2月18日の厚生労働省からの通達を
考慮したというだけの気はするけれど、
福岡市の患者さんにとっては、良いニュースだ。
このALS患者さんは、足りない分の介護費として、
毎月15万~20万の費用を自己負担していたそう。
ALSは進行性の病気だ。
1年もたったら状況が全く変わってしまう。
行政が早い判断ができないのであれば、
介護保険優先の原則から、進行性の難病患者は外すべき。
より明快な通達が厚生労働省から出たことで、
今後は少し変わるのだろうか。
福祉事務所に交渉に行く際には、この通達をプリントアウトして持って行こうと思う。
▽障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律に基
づく自立支援給付と介護保険制度の適用関係等に係る留意事項等に
ついて(平成27年2月18日)
http://www.pref.mie.lg.jp/CHOJUS/HP/kaisei/SVOL/270218-1.pdf
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