2014/08/10

医療につける薬

医療につける薬~内田樹・鷲尾清一に聞く
(岩田健太郎著/筑摩書房刊)


臨床医である岩田健太郎氏と、哲学者二人との対談集。
タイトルに惹かれて読む。

個人的に岩田氏のコメントに共感する部分が多い。
臨床医じゃないと出てこない言葉かなと思った。

時間がないので、覚書のために印象に残った部分の引用のみで。

「僕らはずっと患者さんを診ていて、生と死はつながっているということを強く感じるんです。理屈で考えれば、僕らは生まれてこのかたずっと死に続けている。

(ES細胞における余剰胚使用をめぐる論争を受けて)
「僕がつくづく異様だと思うのは、余剰胚の研究利用については、あそこまで厳密かつ精密な議論をしているのにもかかわらず、人口中絶で亡くなった胎児の研究利用についてはほとんど野放しにしているということです。」

「ALSにおける人口呼吸器は、いわば「杖」とじか「眼鏡」の延長線上にあると僕は思います。「いわゆる」延命を目的としているというより、支えている「杖」のイメージです。「人口呼吸器か否か」というのは手段と目的の顛倒です。大事なのは「なんのために人工呼吸器を使うのか」です。もはや延命を望まない患者に、人工呼吸器がたまたまついてしまう。患者も家族も、そして医療側もそれを外したら良いと思っているのに、司法の心ない決まりがそれを許しません。人口呼吸器をばんばん外せなんて主張じゃないんです。そういう選択肢がまったくないということが問題なんです。(中略)医療の世界は多様で個別的であり、その個別性に寄り添うためには、選択肢がゼロ、例外は認めない、というアプローチはあまりよくないんです。」

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