2014/05/04

呼吸器外しちゃだめですか?

寝たきりの患者の呼吸器を外すことについて、
オフィシャルでもネット上でも、しばしば論議が交わされているが、

ALS患者のように、呼吸器をつけてからの自宅療養が長く、
将来的には、完全に四肢麻痺の状態になってしまう病気の場合、
さらに議論はどうどうめぐっているようである。

欧米では、患者の死ぬ権利を優先した結果、
(家族の)経済的な都合で命を絶たれるケースもあるとのことで、
日本では、尊厳死へ議論が向かうことを避けるため、
死にたい患者は少し黙っとれ…的な少々乱暴な論調の団体もあるようだ。

でも私は思うのだが、これは権利の問題ではなくお金の問題として話し合うべきだ。

患者の生きる権利。

それは確かに尊重すべきものだが、
患者を介護する家族にも自分の人生を生きる権利はある。

ヘルパーを頼めるとしても、自分の自宅に常に他人がいる生活。
長期の外出はおろか、ちょっとした余暇にも罪悪感を感じたり、
自分の好きな仕事に打ち込むことはおろか、
介護のため退職し、自分のキャリアが無くなっていくことの不安。

そういったことに何年も耐えている家族が呼吸器を外そうといったら、
そもそも理不尽だと決めつけられるのか。

仮に家族が外さないでと言ったとしても、
家族の状況を慮り、患者が本当の自分の希望を言えないということはありうる。

残念ながら人は平等ではない。
経済的な理由で生きられないのは患者ばかりではない。

経済的な理由とは関係なく、呼吸器を外したい患者がいる。

そして、本人、医師、家族立ち合いでの合意が必要など、
ある程度法的な縛りを設けることで、
その患者の希望は実現できる。

だとしたら、外したい患者の権利を優先し、
呼吸器をつけて長生きしたい患者の権利については、
社会や地域が経済的にバックアップできるかどうかを議論すべきだ。

同居する家族に収入があったら医療費は負担してもらいます…的なシステムを
国が進めるしかないのであれば、
やはり生きることを選びたくない人も家族もいるからである。

逆に、今は動けるから呼吸器を使いたいという患者もいるはず。
そういう患者の権利も奪わないで欲しい。

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