2014/10/29

改悪派遣法案がついに審議入り

5月に見送りされていた派遣法改正案がついに審議入り。

3年ごとに人を入れ替えれば(つまりクビにして新しい人に替えれば)、
ずっと派遣社員を雇い続けることができるという改悪法案だ。
派遣社員の立場は一気に昔に逆戻り。

パソナグループの取締役会長の竹中平蔵をブレーンとして起用しているのだから、
こういう法案になるのは至極当然の成り行き。

法人税減税、原発再稼働などと同じく、
派遣社員への切り替えを促進して、大企業にメリットを与え、
経団連を動かして献金を増やそうという腹なのだろう。

安倍総理、正社員を増やすと言っておきながら、
3年ごとの派遣社員の入れ替えを推奨するとは2枚舌もいいところ。

公務員の給与アップで、自民党の票はしばらく安泰っぽい。
同じく見送られていた残業代廃止の法案もそのうち通るのでは?
これからは正社員がむしろ派遣社員的になっていくのか。。。

来年8月には介護保険の自己負担も2割になる。
収入は減る方向なのに、病気や要介護者がいる家族の負担はどんどん増えていく。。。
安倍政権で竹中平蔵が進めてきたトリクルダウン政策では、貧乏人は興味なし。

でも、トリクルダウン政策、どうやら時代遅れな理論になってきているようですよ。
このままでは日本は、「世界一国民が不幸せだと感じる国」になってしまうやも。

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【トリクルダウン政策】
大企業や富裕層の支援政策を行うことが経済活動を活性化させることになり、
富が低所得層に向かって徐々に流れ落ち、国民全体の利益となる」とする仮説
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↓アメリカの大富豪、ニックハノーアがTEDで行ったスピーチが、分かりやすくて面白いです。

超富豪の仲間たち、ご注意を ― 民衆に襲われる日がやってくる

2014/10/28

3年間の経過措置って…

札幌に帰省中。

父のパーキンソン病の特定疾患の更新手続きのため、中央区役所へ。

1回自分のでやったから楽勝と思いきや、
札幌と東京では、書類が全然異なるようだ。
印鑑を押すところがとても多いが、あまり意味がない気がする。

なんと住民票、課税証明ともに、
送付された書類の申請用紙を使用すれば、無料で発行できる。
(私の区は600円かかった。)

窓口の人が制度に詳しい。せっかくなので色々確認させてもらう。
(私の区は何を聞いても分からないか、3人くらい交代してやっと分かる。)

うーん、3年間の経過措置の正しい意味がやっと分かった。
(確かに書いてあったけれど、少なくとも私は理解してなかった。)

みなさんご存知でしたか?
既認定者の3年間の経過措置は、3年間院外処方が無料という意味ではないのです。

1)医療券の所得区分が3年間は現行のものでOK → 3年経過後は6段階に。
2)入院時の食事負担が1/2でOK → 3年経過後は全額自己負担に。

つまり、来年からはリルテックを処方してもらうと有料。
リルテックは、2割負担でも1ヶ月分で2万弱するので、
課税所得があれば最低でも5,000円を負担することになる。
(ジェネリックでも、1万円弱なので、負担額は同じくらい。)

月の合算なので、今年の12月には必ず通院して多めに処方してもらい、
来年1月以降は、複数月分を処方してもらうのがお得かと。
(…と普通の人は考えると思われ、12月は病院が混みそう。。。)



北大のイチョウ並木

2014/10/27

新医療券の有効期間

先日ブログに書いた 「医療券の更新手続き完了」 で、
新しい医療券の有効期間は、、2015年12月31日まで…と書いてしまったのですが、
私の受けた説明に不備があったようで誤りがありました。申し訳ありません。

国の指定疾患でも、疾病名により有効期間が異なるようです。

http://www.fukushihoken.metro.tokyo.jp/iryo/nanbyo/nk_shien/kinintei261231.html
(※東京都福祉保険局ホームページ)

>既認定者の有効期間の設定については、法施行後の対象者の増加による更新手続の集中を
>避けるため、7月から12月までの6か月間に分散して有効期限を迎えるように設定します。
>平成27年の更新時は、1年間の有効期間の医療受給者証を発行します。
>具体的な更新時期については、認定後、医療受給者証で御確認をお願いします。

電話で問い合わせたところ、
ALSの場合、次に来る医療券の有効期間は、27年1月1日~27年7月31日となり、
5月頃に次の更新の案内が来るとのことです。
その後の有効期間の記載などについては、まだ不明でした。

ただ、医療券の受給者番号を聞かれたので、
更新手続きの提出時期によっても異なるのかもしれません。
気になる方は、問い合わせください。

誤った情報を記載してしまい、申し訳ありませんでした。

2014/10/23

正しい=最良?

「廃用身」(久坂部 羊・著/幻冬舎文庫・刊)


「大学病院のウラは墓場」(幻冬舎新書刊)という医療エッセイが面白かったので、
久坂部氏の経歴を調べていたら、
処女作の「廃用身」という小説が気になり、試しにKindleで購入。

待ち時間にiPhoneでちょっと読もうと思ったところが、
やめることができず、なんと一気に最期まで読み切ってしまった。


医師が自身の治療を回顧してゆく、
さながらノン・フィクションのような文調で物語は始まる-。

「廃用身」とは、脳梗塞などの麻痺で動かず回復しない手足をいう。

デイケア施設で、老人の訪問医療にあたる漆原医師は、
心身の不自由な「廃用身」をもつ患者の画期的療法を思いつく。

「どうせ動かない手足なら、切断してしまえば患者も介護者も楽になるのではないか?」

治療した患者に予想外の良い結果が生まれ、徐々に手術を受ける患者も増えてゆくのだが、
悪意の第3者の告発をきっかけに、マスコミから「悪魔の医師」と糾弾されてゆく-。

切断なんて、一見トンデモナイ治療法なのに、
読み進むうちに、「ありなのでは?」と思わせてしまう説得力を生み出しているのは、
作者の久坂部氏の医師としての経歴だろう。

登場する介護の陰惨な現場や貧困介護の実態もリアルで、
どこまでが虚構なのかと想像すると背筋がぞっとする。

介護には、お金も人手もかかる。
来るべき老人社会での介護問題を解決するためには、
限りあるリソースで間に合わせるしかない。
ひとつの解決方法として漆原医師が提案したのが、
不要な身体の切断という方法だった。

正直後味は悪い。見たくない現実を見せられた気がするからだ。
でも、何を幸せと感じるかは人それぞれなんだということにも気づく。
両手両足を切断してもなお、幸せを感じるという患者もあると。

病気は治さないけれど、生活を取り戻す治療。
麻痺して動かない腕が痛みを伴うとしたら、切断するという「治療」は是か非か。

「ブラックジャックによろしく」でも、がん細胞を殺すためではなく、
現状維持のために抗がん剤を使用するという話があった。治さずにがんに勝つ。
サンデル教授の言うとおり、正義は1つじゃない。
同じ治療が、ある人にとっては正しくて、ある人にとっては正しくない。

続けて、尊厳死を扱った小説「神の手」も読んでみようと思う。

2014/10/20

"Jersey Boys" ふたたび。

5月に行ったニューヨークのブロードウェイで見た、
『ジャージーボーイズ』の映画版を、ようやく観に行った。

時折入るモノローグで、ミュージカルらしさを自然に演出していて、
さすがイーストウッドだなぁ。

ブロードウェイの舞台では、
かなり早口な英語だったため聞き取れなかったセリフも、
今回おさらいできて満足♪

ニックが10年越しに切れたシーンで、なぜ客席が爆笑していたのか、
ついに分かってすっきり!
やっと言い返せたのに、タオル、だったんだね。ニック。。。


『君の瞳に恋してる(Can't take my eyes off you)』も、鉄板すぎて涙モノ。

実は、マフィアのボス役として出演していたクリストファー・ウォーケンは、
かつて『ディアハンター』で、この曲をバックにビリヤードをするシーンを演じている。
彼の出演は、もしかして、『ディアハンター』へのオマージュ?
素敵だ!イーストウッド万歳。

2014/10/19

医療券の更新手続き完了。

特定疾患の医療助成(マル都)の更新手続きに行ってきました。

窓口は拍子抜けするぐらい空いていましたが、
時間帯を外して、金曜日の4時にしたのが正解?

医療証の更新は半年ごとだと思いこんでいましたが、1年更新なんですね。
4月の末に初めて申請して、
今年だけで6月と9月の2回案内がきたので、てっきり本来は半年更新かと。。。
つまり次に来る医療証は、2015年12月31日までのものになります。(※誤り:下記参照)

※後日追記:説明に誤りがあったらしく、再度確認したところ病気によって異なるとのこと。
  ALSの場合、時間来る医療券の有効期間は、27年1月1日~27年7月31日

それにしても、課税状況は役所内ならオンラインで見れるはずなのに、
なぜ課税証明の提出が必要なのか謎。
(※同じ役所内の福祉担当者は、名前聞いてPCで課税額見てましたもん。)

課税証明書と住民票を出すのに600円かかってます。

東京都の特定疾患公布件数、約7万件だそうです。
600円×7万人=4,200万
もちろん、発送手続きなどで費用もかかるのでしょうけれど、
そのあたりもどこかの天下り会社が受けてて、利権がからみそうな気がします。

病院にもよると思いますが、診断書は3,500円くらいでしょうか。
東京都の患者分だけで、ざっと2億5千万円がどこかの病院の収入になります。
(産科や小児科の維持に使われたりするなら、やむなしですけれども。)

だからナンだ、って言われると特に何もないんですが、
ナンだかなぁと、何か手続きをするたびに毎回思うのです。はぁ…。

2014/10/15

まだ2ヶ月あるけど、たぶん今年一番面白かった本。

「寄生虫なき病」
(モイセズ・ベラスケス=マノフ・著/文芸春秋・刊)



花粉、食物、ダニ、チリ、化粧品…、
現代を生きる私たちにとって、アレルギーは、ごくありふれた疾患となりつつある。

●アレルギーは、アレルゲンとなる物質が身体に取り込まれることで、引き起こされている。

●近年アレルギー患者が増えているのは、
 大気や土壌などの環境汚染や、食品添加物、化学物質などのせいである。

…といったところが、一般的な認識ではないだろうか。

ところが、この本を読むと、そういった認識は決して間違いではないが、
アレルギーの本質的な原因を見誤っている可能性があると本書は指摘している。

そもそもアレルギーになってしまった原因が、

「アレルゲンが身体に入ってしまったから」ではなく、
もともと「存在していた何か」が無くなった結果だとしたら???


花粉症、喘息、アレルギー、そして多発性硬化症、炎症性大腸炎などの自己免疫疾患は、
免疫システムのアンバランスによって引き起こされているという。

実は寄生虫や微生物が、免疫のバランスを調整するためのキーマンらしい。

幼少の頃から、微生物の多い農場で過ごしたり、母親から受け継ぐ微生物が、
大人になってからのアレルギーや自己免疫疾患を防ぐのだ。

虫歯菌が増えることを恐れて、子供と同じ食器は使わなかったり、
抗菌グッズに囲まれて育つと、大人になってから実はもっと恐ろしいことが…?

都市化や寄生虫駆除が浸透してきた時期と、
アレルギー・自己免疫疾患の患者数増加は相関関係にあるそうだ。

多発性硬化症、潰瘍性大腸炎、喘息などは、好発年齢が若い。
もし、幼少期の清潔すぎる環境が原因で病気になっているとしたら、
これからもっと患者数が増えていくのかもしれない。

現に潰瘍性大腸炎の特定疾患受給者数は、この10年間で爆発的に増えている。

▼参考(難病慢性疾患全国フォーラム2013資料より)
http://www.nanbyo.sakura.ne.jp/forum2013/s-kanazawa.pdf


だからといって今さらどうしようもない。子供時代には戻れないのだ。
これからは平均寿命が下がっていくのかもしれないという。

免疫を持っている老人の方が若者より元気で長生きという、
特殊な高齢化社会が、もしかしたら来るのかも…?

2014/10/13

リスクは選ぶもの。

「医療にたかるな」(村上智彦・著/新潮社・刊)

地域医療の最前線で戦う医師が、
北海道での活動をもとに、医療現場の問題点を告発する本。

沖縄と北海道は開発が遅れた地域なので、
国から交付金などで特別扱いされてきた歴史もあり、
お上にお任せ体質とか、確かにあるかもと思った。
札幌の街並みは先進的だけど、北海道の人は保守的な人が多い気がする。

北海道は1人あたりの病院数も多く、
医療機関にお任せな患者家族も多い。(私の父もケアハウスにいる。)

患者家族から、「何かあったらどうするんだ!」と言われたとき、
著者はこう答えるという。

「必ず何かあります。あなたのお父さんはたぶんあなたより先に亡くなります。」

その時は、「プロのサポートがあった上で、何かが起こっても仕方がない」と
思っていただくしかないと思います。
事故が起こることを恐れて、リスクを回避する選択ばかりしていると、
残り少ない大切な時間をつまらないものにしてしまいます。
自らの責任回避を優先して、患者のやれないことを増やしていくのが良いことなのでしょうか?
ぜひ自分の身に置き換えて考えて欲しいと思います。

そうだよなぁ。リスクを回避ばかりしていると、何もできなくなる。
やりたいことをやった結果何かあったとしても、
それは患者本人にとっては不幸ではないのかも。

御嶽山の登山者への注意喚起が無かったのも、
何も起きなかった時にヘビーなクレームをつけてくる輩がいるからということもあると思う。
何もなかったんだから、ありがたいことじゃん…とはならない。
そういうことが続くと、つい何もしないという流れに考え方もいく。

「何か起きたら、訴えられちゃうから無難に。」
形式的なお医者さんや、管理的な施設を作ってしまうのは、
結局は患者と患者の家族なのかもしれない。

2014/10/11

ALS患者の日常を体験する10の方法

今日、妹がうどんを食べたいというので、
何となくうどん屋に入りました。

1本単位で食べられるので、ラーメンよりは御しやすいと思っていたのに、
甘かった、重い、うどんが。。。

この感じを伝える上手い言い方はないかなと思っていたら、
「ALS患者の日常を体験する10の方法」という記事が。
(http://longtailworld.blogspot.jp/2014/08/als10a-mile-in-als-shoes.html)


10項目引用してしまうと、全文になってしまうので、
私の共感を呼んだ、1つ目の項目だけ。

1)4.5kgのウェイトを持つ。それがフォークだと思って、皿から口に繰り返し運ぶ。震えないように。

それだ、、、まさにまさに。
星飛雄馬が大リーグ強化ギブスをつけて食事してたあの感じ?

足はラジオ体操で少し持ち直している気がしていたのですが、
右手がなんだかこの1ヶ月で急に動かせなくなってきました。
やつは容赦がないです。

普通の生活が、とってもいとおしい。

「いとおしい」は、愛おしいでもあり、いと惜しいなんだなと、ふと思いました。

2014/10/10

親の認知症が心配になったら読む本

「親の認知症が心配になったら読む本 そこが知りたい!94のポイント」
(市来嵜潔・監修/小川陽子・著/実務教育出版・刊)

認知症の介護について解説した本なのだが、
要介護認定の手続きの流れや、 良いヘルパー事業所や介護施設の見分け方、
ケアマネへの要望の伝え方、頼んではいけないこと、困ったときの行政の窓口など、
自分のもしもの在宅介護体制を考える上で勉強になった。

やってみたら、こんなにスムーズじゃないということはあるかもしれないけれど、
実際には介護保険を受けられるくらいの症状にならないと申請できないので、
本で段取りをつかんでおくくらいしかできないし。。。

財産の管理や、口腔ケアの大切さなど、
最初からなかなか気づけないことも解説してくれている。

介護初心者には、非常に分かりやすい、良書だと思う。


2014/10/09

リハビリで治す。

リハビリと聞くと、手術や治療の補助的なイメージがあったのだが、
先日、日本せきずい協会の講演で、
和歌山県立医大リハビリ科の田島文博教授の講演を聞いて、少し考えを改めた。

筋肉の衰えを予防したり、弱った足腰を治療するためだけのものではなく、
リハビリという積極的治療をするのだという。
手術を受けた直後の患者さんがリハビリをすることで、治癒が早くなることもあるらしい。
リハビリは、薬と同じくらい大切だと分かった。

田島先生の別の講演会の資料なのですが、
講演内容に興味のある方は、こちらが詳しいのでぜひ。

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第19回遠州病院学術講演会(浜松)
引用元:和歌山医科大学リハビリテーション医学講座より
http://wakayama-med-reha.com/wp-content/uploads/2014/04/e7899ba2e3364673384730bc86dc7351.pdf
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最近リハビリに注目が集まっている気がする。
10月6日のクローズアップ現代でも、
手術後すぐにリハビリを始めると、がん患者の傷の治りが早くなると伝えていた。

▽クローズアップ現代(10月6日)
“がんリハビリ”最前線 ~社会復帰への挑戦~“がんリハビリ”最前線 ~社会復帰への挑戦~


10月1日のハートネットTVでは、
リハビリができない状態の患者さんに「ニューロリハビリ」という、
脳のイメトレで麻痺が回復した患者さんの例を放送していた。
ALSという身体が動かせない病でも、これからはリハビリができるようになるのかもしれない。

▽ハートネットTV 10月1日リハビリ・ケア新時代 脳からの挑戦
第2回「宿命の病に挑む」

iPS細胞やHGFで例え神経がつながっても、動かせるようになるかはまた別の話だという。

筋肉にかかわらず、使わなくなった機能は衰えるそうだ。
なるべく筋肉が落ちないようにしなくては…。
来る日のために、筋肉をなるべく維持しよう!

そこで!!!(唐突ですが)
「ためしてガッテン!」で、筋力増大に超効果があると紹介していた、
3分早歩き→3分普通歩き×5回、30分以内に牛乳一杯をやってみたのだが、
早歩きがしんどすぎて、ダメージが強かったのか、1日動けなくなった。
こんな楽勝っぽいお年寄り向けの筋トレメニューでへばるとは、
毎日走っていたのが、嘘のようだ。。。

仕事に差し支えたので、老若男女に不動の人気のラジオ体操を試す。

ラジオ体操第1→第2をやると大体15分程度。×1日2回。

2週間続けてみたが、これならいけそうだ。
(あまり筋肉がついてる感はないですが、踏ん張り力がよみがえった感じも。)

このYouTubeの動画は、第1第2通しで途中で首の運動も入っていておすすめ。

http://www.youtube.com/watch?v=okshAFHVtL8

まずは3ヶ月、続けます!(効果のほどは3ヶ月後に)

2014/10/06

小さな死。

病気を告知されてから、いろんな患者さんのブログを読んだ。
将来に起きるであろう事態への不安を、せめて「想定内」にしたい一心から読んでいた。

その中で、とても印象に残っている言葉がある。

西村さんという患者さんの講演記録の中で語られた、「小さな死」という言葉だ。

実際には、西村さん自身の言葉ではなく、ある社会学者の言葉らしい。
日々の生活の中であきらめていく小さな喪失体験のことを、「小さな死」と命名した。

なぜ思い出したのかというと、私にも今日また、「小さな死」があったから。

今朝、台風の中仕事に行こうとしたとき、
「壊れてもいいように、ビニール傘にしよう。」と開こうとしたら、開けない。
傘を開くのは意外に力がいるのだ。
いつの間にか右手でも、開けなくなってしまったらしい。

「しょうがない。折り畳み傘で行こう。」
駅に着いた。今度は閉じることができない。
焦る。見た目は全くの健常者の私には、「閉じてください。」と頼みにくい。
しばらくトライして、やっと閉じることができた。

家の鍵も左手ではもう回せない。
右手で回せなくなったら家に入れないのだろうか。
足が動かないよりも、手が使えない不便は大きいように思う。

ラーメン食べられない時と同じく、
開きやすい傘を買えばいい。…だけなんだけれど、
予想していないことに遭遇すると、意外と凹むのです。。。弱っちいな私。


※下記は「小さな死」について語られた部分の引用です。
 西村さんの素晴らしい講演内容は、下記HPリンクに全文掲載されています。

講演 「いのちを輝かして」 西村隆さん、西村雅代さん
(下記引用:日本ALS協会近畿ブロックのHP掲載の講演記録より)

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身体の中の微妙な変化は どんなに近くにいる、家族にも分からないほど小さなものなのですが、私にはその一つ一つが心を痛める大事件です。

どんどん萎縮する肉体、発病して五、六年は毎日、自分の身体をにらみつけては、変化を探しました。65kgあった体重がアッという間に40kg台に減りました。

 そして出来ていたこと、昨日まで当たり前にできていたことを次々にあきらめていきます。

○月×日ペンがもてない。さらばペンよ。

○月×日お箸が使えなくなる。

○月×日エンジンキーが回せない。運転をあきらめる。

 毎日書いていたパソコンの日記には出来なくなったことが短く書いてあります。

 繰り返される喪失体験がALSの特徴です。ある社会学者はこの喪失体験のことを「小さな死」と定義しています。まさに実感です。

それは自分が崩れていく、価値が無くなる体験でした。
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2014/10/04

意外と楽しい、国際福祉機器展2014。

10月3日、国際福祉機器展2014の最終日に出かけた。

いや~、スゴイスゴイ。

もっとこじんまりしたものを想像していたので、
3時間くらいで見終わるかと、午後2時に到着したのだが、大間違い。
大介護時代を象徴するかのような巨大展示会でした。

車椅子、福祉カー、バリアフリーリフォーム改修、食器、衣類、
コミュニケーション機器、ケア用品、おむつ、レトルト食品等など、
およそシニア、障害者の日常生活に関係する、
ありとあらゆるものが一同に集結してる感じ。

圧倒されつつも、目当ての「オペレートナビ」を展示しているブースを探す。
会社規模の展示なので、必ずしもカテゴリごとに展示されてる訳ではなく、
「コミュニケーション機器」エリアとは真逆にあったため、探すのにちょっと一苦労。

やっと見つけたのだが、デモ機がiPadよりも小さいPCで、
担当者の説明もあまりやる気がなく、
複雑なメニューなのにアプリの動きも悪く、
一番聞きたかった自分の設定についても操作感もいまひとつ分からず。。。

対して、パナソニックブースの「レッツチャット」の担当者の方は、
スイッチの自作について具体的に説明してくれて、非常に参考になった。
ホームセンターで売っているバンドや筒状の木片などを使って、
患者個々の握力の状態に合わせて調整した実例を見せてくれる。
ナースコール的な使い方もでき、赤外線スイッチでテレビのオンオフも可能。
この商品は、画面をタッチして入力できると思っていたのだけれど、
実は画面を触っての入力はできないのも意外だった。

オペナビは拡張性が高い反面、使いこなせない人もかなり多いと思うので、
やっぱり実物を見るって大事ですね。

続いて住宅リフォームのコーナーへ。

つっぱり棒が大きくなったような、手すりが気になった。
家を傷つけず好きな場所につけることができる。便利。

福祉事務所で説明できなかった腕をつる機械のカタログももらえて良かった。
(スプリング・バランサーというらしい。)

でも、どの商品も公的補助が前提だからか、定価が高い気がする。
おそらく値引きもあまりない業界なのだろう。

食品コーナーでは、志の輔さんのTVCMで気になっていた、
「龍角散・漢方らくらく服用ゼリー」のサンプルは2つもくれる大盤ぶるまい。
さっそく最近飲みづらくなってきた、小青龍湯を飲むときに使えそう。
マルハニチロで「肉じゃが・やわらか仕立て」もゲット。私でも食べやすいサイコロ状。
様々な味の介護用食品が並んでいて面白い。
出し巻きたまご味とか、ガリガリくん的発展をとげてます。(笑)

時間が無くて1社しか乗れなかったけれど、電動車椅子にも試乗。
せっかくの機会だから高級そうなPermobilというスウェーデンのメーカーに。
これだけは、自分の病気のことを言わないと相談できなかったので、
「まだ必要ないのですが、ALSだとどの機種が…?」と聞いたら、
前輪駆動が良いとか、補助でつけられる機能とか、とても親切に説明してくれました。
「必要になる頃には、きっと良い機種とか治療法とか出てると思いますから、
頑張ってくださいね。」と、温かい言葉もかけていただく。
ありがとうございました。嬉しかったです。

色々とビジネスのネタも落ちていましたよ。
障害者が使いやすい商品は、普通の人も使いやすいんですもん。
介護用品は現状はネットが多いけれど、
実際に触りたいというのもあるので、福祉用品だけの百貨店とか、
購入のお手伝いも含めた福祉用品のコンサルビジネスとか、
一般人向けにはぶっちぎりの会社もなさそうだし、まだまた成立する余地がありそうです。
自分だったらどんなサービスが欲しいか考えながら歩いてました。

また、膨大な商品を目の当たりにして、
かゆいところに手が届く日本の技術工芸力、アイデア力が、
福祉産業で花開きつつあるなぁと感心した1日でした。

2014/10/01

医療券申請書類

27年1月からの医療券更新申請の案内が届いた。

初めての更新手続き。
11月7日までに申請すれば、年内に医療券が届くらしい。

遅くとも12月31日までに提出しないと、
新難病法における3年間の軽減措置が受けられなくなるので注意です。

どうして治らない病気なのに半年ごとに更新しなくてはいけないのか
?だったけれど、住民票で納得。
引っ越したら、別の自治体が負担するからなんですね。
でも全患者からの事務手続きとか膨大な処理費がかかりそう。
なんとか国の枠組みでできないんでしょうかね。。。

ちょうど病院から診断書も届いたし、10月中に行けそうでひと安心。