2014/08/03

良い医者はどんな医者?

研修医純情物語~先生と呼ばないで (川渕恵一著/幻冬舎刊)


Kindleだと、書店ではあまり手にとらない本を読むことが多い。
この本もそう。なんとなく研修医という世界を覗いてみたくて購入してみた。
あわせて同じ著者の「ふり返るなドクター」も読了。
テンポが良く読みやすい。
「ふり返るな~」は続編だと思って購入したら、
同じ設定の焼き直しといった内容だった。
個人的には、「研修医純情物語」の方が面白かった。

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引きこもりだった主人公が、30代で医師を目指し、
40代で研修医として大学病院に勤め始めるのだが、
大学病院は、理不尽なしきたりや患者を診ない医者たちの巣窟だった。
患者を診るのは研修医にまかせて、指導医は研究や論文に明け暮れている。
彼は患者と話すのが好きで、医者のあるべき姿に疑問を感じる。
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この主人公は、医者は患者の話を聞くのが仕事だと主張する。
でも大学病院なら、臨床に基づく研究も大切な部分では?という疑問もわいてくる。

さて患者にとって、良い医者とはどんな医者だろう?

知識や経験が多く、確定診断が早い医者なのか、
新しい薬や治療法を研究して将来の患者を助ける医者なのか、
臨床に重きを置いて目の前の患者の話を聞く医者なのか、

病気を見つけたり治したりする勉強はしてほしいけれど、
患者は個々違う人間なので、
仕事や家族の状況に合わせて治療を進めて欲しいのは確かだ。

その上ALSの場合は、主治医がカバーしなければならない範囲がかなり広い。

前向きに人工呼吸器をつけて生きたい患者がいる一方で、
緩和医療を希望する患者もいる。あくまで患者の意思を尊重して欲しい。
胃ろうや呼吸器をつける局面で、患者に寄り添いメンタルもサポートして欲しい。
治験などに積極的な医者であって欲しいし、
リハビリ、器具やコミュニケーション機器などのアドバイスができる医者だと心強いし、
障害者手帳などの福祉手続きに詳しいとさらに助かる。

これ全部カバーできる先生はいないだろうなぁ。
診断する先生と、治療する先生は別の先生の方が良い気がする。
逆に看取りは緩和医療専門医に送ってさようならではなく、
ずっと治療していた先生に立ち会って欲しいかな私は。
自分の元気だった頃を知っている先生に。


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