2014/03/13

入院(4):告知

2014年3月14日

話は前後してしまうが、入院6日目に戻ろう。

いよいよグロブリン治療も明日でおしまい。

入院生活にも、腕に刺さったままの点滴針にも慣れ、
なんとなくグロプリンのおかげで調子が良い気がしていた。

「ちょっといいかな?」

夕食が配られ出した頃、M先生が顔を見せてくれた。
外来の初診の先生なので、なんだかほっとする。

「色々検査したんだけどね、運動ニューロンの病気なのは確定だと思う。」

「他の病気だと良かったんだけど、どれも異常が全くないんだ。
しいて言えば、大腸の腫瘍マーカーがほんの少し上がっているけれど、
関係ないと思う。」

「……ALSということですか?」

「うん。世界神経学会(WFN)のEL Escorial基準というのがあってね、
ALS確実と言うには、筋心電図で3ヶ所異常が出る必要がある。
確実な神経原生異常は、まだ1ヶ所だった。」

「3ヶ所出るのは、どういう状態ですか?」

「車いすくらいにならないと、出ない。」

「まだ進行が早いか遅いかという可能性はあって、
早いと1年で車椅子…」

「遅ければ…?」

「3年で車椅子かな…。」

「あなたの場合は、飲み込みが心配だね。」

優しいけど、質問にはごまかさずはっきりと答えてくれる。
でも、寿命については、まだ怖くて質問できなかった。

「どうしたら、いいんでしょう。」

「やりたいことがあるなら、いまのうちにやった方が良いと思う。」

「別の病気の可能性はないですか?運動ニューロン病は、確実なんですか?」

「僕たちも他の病気であって欲しかったのだけれど、
若いから違うかと思っていたのだけれど、
運動ニューロンの病気なのは残念ながら間違いないと思う。」

確かに先生達は、針筋電図の後も、
夕方から病室に入れ替わり立ち替わり、追加で色々な検査をしてくれていた。

先生は顔をしかめて、
まるで先生の方が告知を受けているようにつらそうだった。

私は、病気のことはもうこれ以上聞きたくなくなくて、
ぜんぜん関係のない世間話をしだしたけれど、
M先生は、その後1時間以上もずっと私の話をきいてくれた。

なんども看護師さんが食事を下げに来たけれど、
先生はずっと横にいてくれた。

外来の時とても待ち時間がかかったけれど、
こんな風に患者の話を聞いてくれるからなんだと、思った。
いい先生に出会えて良かった。

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