2014/11/15

SEIQoL-DWセミナー@札幌

2014年11月2日(日)に札幌で開催された、
SEIQoL-DWセミナーに参加した。

講師は、医療用ロボット「HAL」の臨床研究でも有名な、
国立病院機構新潟病院の中島孝先生。
アイルランド王立外科大学が発祥のSEIQoL-DWの
日本版の普及を推進されている。
先生の説明は、QOLの概念や他の測定法にも及ぶものだったが、
その方面の知識が全くない私にも、とても分かりやすくて面白い。
約5時間のセミナーはあっという間で、時間が足りないと思うくらいだった。

SEIQoL-DWとは、"Schedule for the Evaluation of Individual Quality of Life"の略で、
包括的なQOL(生活の質)評価法の一つ。
ただし、普遍的な身体的尺度(○○が自分でできるから○点)というような評価方法は採用せず、
個々の患者が生活に求めている質を探り、
療養計画に役立て、QOLを上げていこうという方法だ。

まず、患者さんに生活で重要だと考える5つの項目を上げてもらい、
その項目が現在どの程度達成されているか(達成度)、
全体が100としたら、その項目が占める割合はどのくらいか(重み)、
項目×達成度×重みで、現在のQOLのINDEXを出していく。

たとえば、「生きがい」は人によって違う。
アウトドアが趣味の人と、読書好きな人では、寝たきり状態の評価は異なるだろう。
「本さえ読めればハッピー」という人にとっては、寝たきりはさほど大きな障害ではない。

電子書籍など、書店に行かなくても本が買えるようになった今、
読書派のQOLを維持するツールを揃えるのは容易だ。
ただし、「本が読みたい」という願望を介護側が理解していなければ、
環境を整備することができないということがポイント。

その患者の「生きがい」は何か。それを探るための評価法なのだ。

そしてもう一つの大切なことは、患者自身が自分の願望を知ることで、
「○○ができないから自分は不幸だ。」という心の状態から、
「○○ができて幸せだ。」という気持ちへ変化すること。

中島先生は、このことを「ナラティブ(物語)の書き換え」とおっしゃっていた。

ビルゲイツの言葉に、こんな言葉がある。
「Life is not fair. Get used to it.」(人生は不公平だ。それに慣れよう。)

ビルゲイツは大富豪なので、ひどい!と思ってしまうかもしれないのだが、
他人が持っていて、自分が持っていないものにフォーカスする人は幸せになれない。
だって自分にないものを持っている人は限りなく出てくるから。
本当に自分がハッピーだと感じるものを手に入れるべく努力しよう。

もう一つ、ネイティヴアメリカンの言葉。
「Today is a very good day to die.(今日は死ぬのにもってこいの日)」
いつ死んでもいいように毎日を生きようという意味だとか。

でも、実際のところは、
「もういつ死んでもいい。でも今日じゃなくてもいい。」が大方の本音ですかね。
(どなたかのエッセイにあった老人ホームのお年寄りの言葉。笑)

いずれにしても、満足度の高い生活を送ることが、
病気や死への不安を和らげることにつながるとは言えそうです。

まずは、自分(患者さん)が大事に思うことを知ること。

SEIQoLについて、詳しく知りたい方はこちらへ。
http://seiqol.jp/

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